【LOBO調査】焼津市管内景気調査(2024年3月)

やいづ動向調査お知らせ

全国業況は、コスト増の中、人手不足等で足踏み。
先行きは、改善の期待高まるも、課題多く力強さ欠く。

 
焼津市内業況は、悪化。
先行きは、景気回復に期待し好転の見通し。

 
※DI:Diffusion Index(ディフージョン インデックス=景気動向指数)の略。
各調査項目について、「増加」・「好転」したなどとする企業割合から
「減少」・「悪化」したなどとする企業割合を差し引いた数値で、企業の景況感の判断に使用する指数。

3月調査の傾向

・全国の全産業業況DIは▲12.9(前月比±0.0ポイント)となった。

・建設業は、住宅関連を中心に民間工事の不振が続き、悪化した。小売業は、物価高による消費者の買い控えの継続が重荷なり、悪化に転じた。一方、サービス業は、人手不足は継続するものの、国内外の観光需要増の恩恵を受けた飲食・宿泊業が下支えし、ほぼ横ばいとなった。製造業は、飲食品関係の需要増のほか、自動車関係も堅調に推移し、改善となり、卸売業も、 製造業にけん引され、改善した。

・日経平均株価の最高値更新等、景気回復の 兆しが見える一方、物価の高止まりや円安基調等によるコスト増が継続している。また、人手不足による受注機会の損失やコスト増に見合う価格転嫁もできておらず、業況は足踏みとなった。

 
・焼津市業況DIは▲18.7(前月比▲18.7ポイント)と悪化。飲食業は変わらず堅調に推移している。全業種ともに全国同様、コスト増による収益の圧迫が大きい。今後は全国同様、物流費の高騰や賃上げ、価格転嫁など対応すべき課題は多いが、景気回復に期待し好転の見通し。

 

付帯調査テーマ

・2023年度の賃金(正社員)の動向

付帯調査の傾向

焼津市の調査企業は2023年度の賃上げについて87.5%が「賃上げを実施」と回答し、賃上げ率については「5%以上」、「3%以上4%未満」、「2%以上3%未満」が同率で21.4%であった。賃上げの理由としては「人材確保・定着やモチベーション向上のため」が最も多く100%、次に「最低賃金が引き上げられたため」、「物価が上昇しているため」が50.0%と続いた。
前回調査時(R5.12月調査)より賃上げ率が上昇しており、賃上げの理由についても「物価が上昇しているのため」と回答した企業が増加した。企業はコスト増が厳しい中で人材確保のためだけではなく、従業員の生活を考え賃上げを行っている。

 

調査企業からの声

・大手企業は円安を背景に史上最高の業績を残しており、労働組合側も強気に賃上げを要求できるが、当社のような地方の中小企業には原材料価格、光熱費の価格上昇が利益を圧縮し、賃上げどころか人件費の削減を考えなければならない状況でもある。物価だけが上がり、賃金が上がらないのはどこの地方でも一緒なのではないか?(水産食料品製造業)

・円安は、輸出を行っている大手企業にはメリットは大きいが、中小企業、少なくとも当社にはデメリットしかない。電気料金の値上がり、ガソリン代の値上がり、サーバー代(ドル建て)の値上がり、外注費(ベトナム企業)の値上がりなど、どれも大幅に上昇しており、収益を圧迫している。そこに4月の定期昇給では、従業員に対して昨年以上の昇給をしていかなければならないと考えている。そうしないと大手企業に人材が流失してしまうし、インフレも進行しているので生活は苦しくなってしまう。現状は極めて厳しい状況が続いているが、なんとか付加価値の高い新しい事業を立ち上げ、高収益を実現できるようにしていく。来年度は勝負の年になると思う。(ソフトウェア業)

・物流の2024年問題がメディアでも報道されており、値上げが社会的に受容されているように思えるが現実は非常に厳しい。2024年の動向も先行き不透明であり、静観している顧客が多く、満額回答は皆無。結局のところ、弊社で抱える荷主も大手の下請けとして動いている所が多く、本当の元受けが利益を吐き出す覚悟をもって、物流の2024年問題に対処しなければ末端の運送会社の従業員への賃上げは非常に困難。(運送業)

 

リンク

・全国の調査結果はこちらから(日本商工会議所へ
・商工会議所LOBO調査とは(日本商工会議所へ