全国業況は、改善を示すも、消費の弱さで力強さ欠く。
先行きは、内需の伸び悩み懸念から慎重な見方。
焼津市内業況は、好転。
先行きは、コスト増が続く経営環境の中、賃上げ原資の確保等の課題が山積で悪化の見通し。
※DI:Diffusion Index(ディフージョン インデックス=景気動向指数)の略。
各調査項目について、「増加」・「好転」したなどとする企業割合から
「減少」・「悪化」したなどとする企業割合を差し引いた数値で、企業の景況感の判断に使用する指数。
9月調査の傾向
・全国の全産業合計の業況DIは▲14.1(前月比+1.3ポイント)となった。
・製造業は、生産回復が続く自動車関係や需要が堅調な電子機器関係を中心に、改善した。卸売業は、電子機器関係や残暑に伴う夏物商材の堅調な需要に下支えされ、改善した。また、建設業は、引き続き堅調に推移する公共工事が全体をけん引し、改善した。一方、小売業・サービス業は、インバウンド・国内観光需要は堅調なものの、消費者の節約志向の継続が全体を下押しし、ほぼ横ばいで推移した。
・原材料や電気代、輸送費の高騰等が続く中、依然として価格転嫁は追い付いていない。また、人手不足や賃上げ原資の確保等の課題も山積している。個人消費は実質賃金のプラス転換など明るい兆しが見られるものの、物価高による弱さが残り、中小企業の業況は力強さを欠いている。
・焼津市業況DIは20.0(前月比+13.3ポイント)と改善。国内観光需要の恩恵を受け宿泊業は堅調に推移。近年の販売価格の見直し、仕入価格低下という2つの効果により業績が改善したこともあり食品製造業は右肩上がりが続き好調である。小売業は長引く物価高に伴う消費者の節約志向やコスト負担増の継続が下押しし、ほぼ横ばい。水産卸売業は悪化が続いている。天候や異常気象に左右される夏が終わり、秋口には各種イベントも増加し経済が好転することに期待するが、内需の伸び悩みが懸念され慎重な見方となった。
付帯調査テーマ
・2024年度の賃金(正社員)の動向
付帯調査の傾向
「正社員における2024年度の賃上げ状況について」とういう質問に対して、焼津市調査企業は「業績が改善しているため(見込み含む)、賃上げを実施した(予定含む)」または「業績の改善はみられないが(見込み含む)、賃上げを実施した(予定含む)」という回答が93.3%であり、前年度調査(76.5%)から+16.8となった。
賃上げの内容としては「定期昇給を実施した(予定を含む)」が最も多く64.3%、賃上げ率については「3%以上4%未満」が最も多く28.6%であった。賃上げを行う理由としては、「人材確保・定着やモチベーション向上のため」が最も多く92.8%、次に「最低賃金が引き上げられたため」が64.2%、「新卒採用者の初任給や非正規社員の給料を引き上げたため」が35.7%と続いた。労働人口の減少に伴う人手不足や最低賃金の引き上げなど人件費が高騰する厳しい経済状況に伴い、企業は賃上げせざるを得ない状況がうかがえる。新たな人材確保が難しい中で、既存の従業員の離職防止にも努めている。
調査企業からの声
・近年の販売価格の見直し、原料鰹の仕入価格低下という2つの効果があり、今期は業績が改善したこともあり、夏季賞与は例年よりも手厚くした。しかしながら、離職率の改善、新入社員の獲得にはまだ十分な水準に至っていないと感じる。(水産食料品製造業)
・弊社では「働き方改革」という言葉が出来る前から様々な働き方改善を行っており、有給取得率向上や、休日数増加に着手し、実質賃金が上昇。5年前より毎年2%労務費を上げ、本年は3~4%上昇させた。その結果、経営はかなり苦しくなっている。4年前より労務費分の上昇を価格転嫁しているが、そもそも製造業の販売単価ベースが低い。失われた30年を取り戻すには時間がかかりそうだが、物価上昇や賃金上のペースがそれ以上で世間とのギャップが大きい。(非鉄金属製造業)
リンク
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