全国業況は、物価高に伴う消費低迷で、全業種で悪化。
先行きは、一層のコスト負担増継続で厳しい見方。
焼津市内業況は、好転。
先行きは、経済回復に期待し好転の見通し。
※DI:Diffusion Index(ディフージョン インデックス=景気動向指数)の略。
各調査項目について、「増加」・「好転」したなどとする企業割合から
「減少」・「悪化」したなどとする企業割合を差し引いた数値で、企業の景況感の判断に使用する指数。
6月調査の傾向
・全国の全産業合計の業況DIは、▲16.2(前月比▲4.8ポイント)となった。
・資源・原材料価格が高止まりする中、歴史的な円安基調や人材確保に向けた賃上げ、輸送費の上昇等の複合的な要因による企業のコスト負担増は業種を問わず継続している。
・とりわけ、建設業や卸売業では、働き方改革関連法による輸送費・労務費の上昇や需要の取りこぼしが見られたほか、製造業では企業の設備投資が力強さを欠き、需要が伸び悩んでいる。また、小売業やサービス業では、インバウンド需要は底堅いものの、物価高による消費者の購買意欲の低下が下押しした。継続する物価高による消費低迷により、全業種で業況は悪化となった。(全業種で業況DIが1.0ポイント以上悪化したのは、2022年9月以来)
・焼津市業況DIは0.0(前月比+6.7ポイント)と好転。食品製造業が堅調に推移し、定額減税等による可処分所得の増加で景気回復の期待感が伺える。他の業種についても、右肩上がりとはいかないものの現状維持が続く企業が多い。依然として全業種ともに長期化するコスト増の負担により、収益の圧迫が大きい。
付帯調査テーマ
・円安基調が業績に与える影響
付帯調査の傾向
焼津市の調査企業は円安について86.7%が「デメリットが大きい」と回答。具体的な影響として、燃料・エネルギー価格上昇に伴う負担増や原材料・部品・商品等の仕入価格の上昇に伴う負担増との回答が大半を占めた。次いで、仕入コスト上昇分を販売・受注価格へ転嫁できず収益悪化との回答が多く、十分な価格転嫁ができていない中での円安基調は収益圧迫となっている。
円安に伴う対応状況としては同率で38.5%が「既に対応策を取っている」、「今後対応策を取る予定」と回答し、製品・サービスの差別化による付加価値向上や商品・サービス価格への転嫁によって円安基調への対応策を取る(取る予定)企業が多い中、「取れる対応策がない」との声もあった。価格転嫁を引き続き行う中で他社との差別化も重要なポイントになってきている。
調査企業からの声
・「製品・サービスの価格転嫁」とよく言われるが、これにはたいへんな努力・労力が必要なことを理解していただきたい。「製品・サービスの差別化による付加価値向上」についても同様で、大きな努力・労力が必要。(ソフトウェア業)
・当社は中国に現地法人があり、水産食料品等の輸入を行っているが、支払いが米ドル建であるため、為替相場により利益が大きく左右される。また、原材料として鰹や資材なども為替の影響が出やすいため、早く安定した為替相場になることが望まれる。(水産食料品製造業)
・外国から資源を仕入れて、利用、加工し、付加価値を付けて製品にするのだから、円安で価格転嫁(価値の付与)できなければ利益がなくなるのは当然。外国から見たら、日本の良い製品、サービスが安く買えるので需要が増し、国内の賃金上昇、消費拡大、国力上昇、円高。という均衡に向かえばよいと思う。労働力不足から、外国人労働者に頼らざるを得ない中で、円安が続くと、出稼ぎに来てくれない。という状況はコロナ前から分かっており、政府の動きはとても遅い。永住権、国籍取得の緩和まで踏み込む必要がある。(鋳型製造業)