全国業況は、4か月連続で足踏み続く。
先行きは、円安の伸長等によるコスト増で懸念続く。
焼津市内業況は好転。
先行きはコスト増の負担が続くとみて、悪化の見通し。
※DI:Diffusion Index(ディフージョン インデックス=景気動向指数)の略。
各調査項目について、「増加」・「好転」したなどとする企業割合から
「減少」・「悪化」したなどとする企業割合を差し引いた数値で、企業の景況感の判断に使用する指数。
9月調査の傾向
全国の全産業業況DIは▲9.0(前月比▲0.1ポイント)となった。
建設業では、国土強靭化事業をはじめとする公共工事の受注が堅調に推移し、改善した。小売業では、高付加価値商品の販売やインバウンド需要が好調な百貨店が下支えし、改善した。また、卸売業でも小売業からの引き合い増加で改善した。
一方、製造業では、円安の伸長による輸入部材の価格高騰により悪化した。サービス業では、慢性的な人手不足により、飲食・宿泊業を中心に、悪化となった。
各業種の業況はまだら模様となったものの、エネルギー価格の高騰によるコスト増や深刻な人手不足等、業種を問わない課題は山積しており、中小企業の業況は4か月連続で足踏みが続いている。
焼津市業況DIは0.0(前月比+18.8ポイント)と好転。宿泊業・飲食業は天候不順の影響があったものの変わらず堅調に推移している。全業種とも全国同様、エネルギー価格の高騰によるコスト増や人件費増等により収益の圧迫が続いている。
付帯調査テーマ
・2023年度の賃金(正社員)の動向
・ALPS処理水の海洋放出による企業活動や地域経済への影響
付帯調査の傾向
・焼津企業は福島第一原子力発電所におけるALPS処理水の海洋放出について「悪影響が発生するとは考えていない」が最も多く64.7%となった。
・「正社員における2023年度の賃上げの状況について」という質問に対して、焼津企業は「業績が改善しているため、賃上げ実施」または「業績の改善はみられないが、賃上げ実施」という回答が70.5%であり、5月調査(76.5%)から▲6.0ポイントとなった。賃上げを行う理由については「人材確保・定着やモチベーション向上のため」が最も多く68.8%、次に「最低賃金が引き上げられたため」、「新卒採用者の初任給や非正規社員の給与を引き上げたため」が37.5%と続いた。
同年5月調査時には賃上げを予定していた企業も、長引くエネルギー価格の高騰等によるコスト増で実施できずにいる。また10月に最低賃金の引き上げが実施されるため、人件費増の負担が大きくなると思われる。
調査企業からの声
・天候や異常気象に左右された夏だった。秋口に入り各種イベントが増加しコロナ前の活気が少しずつ戻ってきたのではないか。相変わらずエネルギーコストの増加により厳しい経営状況である。今後更なる価格転嫁の為の値上げをせざるを得ないと実感している。仕入に関しては主要な天然まぐろの価格が昨年来の高騰から少し落ち着きをみせており、今後の流れが注視するところだ。(飲食業)
・地元で永く営業を続けていた老舗の水産加工会社が相次いで廃業・撤退をしている。これだけ魚価高、エネルギー高、賃金上昇が続けば先行きも見通せずやむを得ないことかもしれない。業界においては多少の政府支援(ガス等)はあるものの、短期限定的であることから焼け石に水の状態である。(水産食料品製造業)