全国業況は、個人消費の回復鈍く、ほぼ横ばい。
先行きは、人手不足の中、一層のコスト増への懸念高まる。
焼津市内業況は5ヶ月ぶりに悪化。
先行きは引き続きコスト増の負担が続く。
※DI:Diffusion Index(ディフージョン インデックス=景気動向指数)の略。
各調査項目について、「増加」・「好転」したなどとする企業割合から
「減少」・「悪化」したなどとする企業割合を差し引いた数値で、企業の景況感の判断に使用する指数。
8月調査の傾向
全国の全産業業況DIは▲8.9(前月比+0.9ポイント)となった。
小売業は、インバウンド需要の回復等で売上が好調な百貨店が牽引し、改善した。サービス業は、夏休み需要で飲食・宿泊・観光業を中心に改善も、物価高や天候不順の影響で力強さを欠いた。建設業は、資材価格高騰によるコスト増が重荷となり、ほぼ横ばいとなった。また、製造業は、エネルギー価格の高騰によるコスト増で悪化し、卸売業も、国内需要回復の鈍さから引き合いが減少し、悪化した。
物価高で内需に力強さを欠く中、原材料・エネルギー価格のさらなる高騰でコスト増が続いている。また、深刻な人手不足に加え、労務費等の上昇分までの十分な価格転嫁も行えておらず、中小企業の業況は横ばいに留まっている。
焼津市業況DIは▲18.8(前月比▲1.2ポイント)と5ヶ月ぶりに悪化。宿泊業は堅調に推移し、夏休み需要により賑わいをみせていた。一方で飲食業では天候不順により客足が遠のく中、イベントの中止等も重なり、思うような回復には至らなかった。依然として全業種ともに、長期化するコスト増の負担により、収益の圧迫が大きい。
付帯調査テーマ
・ゼロゼロ融資利用企業の資金繰りの状況
・2050年カーボンニュートラルへの対応
・電力料金の上昇の経営への影響
付帯調査の傾向
・焼津の調査事業者の資金繰り状況については「金融機関へ相談し、返済負担を軽減できた」が31.3%であり、うちゼロゼロ融資の利用は80%であった。
・カーボンニュートラルやGXについて焼津企業の回答は「エネルギーコスト上昇を危惧」が75%であった。取組みについては「メディアなどからの情報収集」が最も多く56.3%となった。
・電力料金の高騰について焼津企業の回答は「悪影響がある」が最も多く75%であり、残りの企業も全て「現時点ではないが今後は悪影響が懸念される」という回答であった。今後の対応としては「節電などの人件費以外のコスト削減」が43.8%、続いて「販売価格への転嫁」で37.5%となった。
調査企業からの声
・コロナ5類移行後の期待した今回のお盆、繁忙期だったが、あいにくの天候となり、思ったような結果が出ずに終了してしまった。夏休みはあと少しは続くが、繁忙期(お盆)の分を取り戻すことは不可能であり、改めて外食・サービス業が天候に大きく作用されることを思い知らされた。当然1年を通して、閑散期と繁忙期があるわけで、一度それを逃すと今期の予定が大きく変わり、数字を出すのは非常に困難になる。大企業のような含み資産が中小零細にはある訳がなく、エネルギーコスト、人件費の上昇もあり難しい経営が続く。(飲食業)
・当社では動力として電気、ガスを大量に消費している。ガスに関しては政府支援もあり、7~9月に関しては1㎥あたり25円/㎥程度の引下げがあり、負担軽減となったが、電力に関しては昨年より高止まりの状態が続いている。更に追い打ちをかけて材料費(原魚資材)の高騰もあり、当社に限らず業界は存続を危ぶむ環境となっている。(水産食料品製造業)
・円安の影響により外注費(ベトナムのシステム開発外注)が大幅に上昇している。またサーバー代も上昇している。現在はお客様に対して「システム保守料」などの値上げをお願いしている最中で、とても心苦しい状況が続いている。(ソフトウェア業)
・数年前までは、炭素排出量取引の仕組みなど全く理解できなかったが、ちょっと勉強すると、確実に排出炭素に応じた費用を社会に支払う日が来ることが分かる。モノやサービスの価格・価値に、いかにクリーンなエネルギーが使用され、サステナブルかが評価基準となる。(鋳型製造業)