全国業況は、コスト増に消費意欲の一服が重なり悪化。
先行きは、長期化する人手不足や物価高で慎重な見方。
焼津市内業況は引き続き若干好転。
先行きは引き続きコスト増の負担が続くと見て、慎重な見通し。
※DI:Diffusion Index(ディフージョン インデックス=景気動向指数)の略。
各調査項目について、「増加」・「好転」したなどとする企業割合から
「減少」・「悪化」したなどとする企業割合を差し引いた数値で、企業の景況感の判断に使用する指数。
6月調査の傾向
全国の全産業業況DIはサービス業では、飲食・宿泊業等で需要回復は継続する一方、深刻な人手不足に伴う受注機会の損失で、業況は悪化した。また、小売業では、物価高により消費者の日用品等の買い控えが継続しており、スーパー等を中心に悪化した。卸売業でも、梱包資材価格の高止まりに加え、小売業・サービス業からの引き合い減少で悪化した。建設業・製造業では、設備投資需要が堅調に推移する一方、度重なるコスト増に価格転嫁が追いついておらず、横ばいに留まった。原材料・エネルギー価格の高騰や人材確保に向けた賃上げ等のコスト増加が継続する中、コロナ禍からの挽回消費にも一服感が見られ、中小企業の業況は悪化に転じた。
焼津市業況DIは▲17.7(前月比+5.9ポイント)と改善した。飲食業・宿泊業は堅調に推移し、景気回復の期待感が伺える。しかし全国同様、長期化するコスト増の負担により、価格転嫁が追いつかず、収益の圧迫が大きい。
付帯調査テーマ
・2022年度の設備投資の実績について
・2023年度の設備投資の動向について
付帯調査の傾向
・「2022年度の設備投資について」という質問に対して、焼津企業は「規模を拡大して実施」が最も多く35.3%であった。「2023年度の設備投資について」は「規模を拡大して実施」と「現時点では未定」が最も多く29.4%であった。理由については「人手不足に対応するため」が最も多く50%、次に「需要増に対応するため」が40%であった。目的ついては「能力増強」と「省力化・合理化」が最も多く60%となった。
新規事業参入というよりも、需要が増えていく中で人手不足解消のために設備投資を行う企業が多い。
調査企業からの声
・引き続きエネルギーコストの上昇に伴う経費問題や今後を見越したGW過ぎからの人件費の増大に売上が伴わない現状など経営面に苦慮している。市の経済緩和策のLINEクーポンも、市民限定、回数制限もあり思ったほどの売上の伸びには繋がらない予想。コロナゼロゼロ融資の元利返済も始まり、先月の借入メインバンクとの折衡により今月より利息の引き下げは行えたが、依然として資金繰りが大変なのは同じだ。(飲食店)
・既存設備の耐用年数が過ぎ、設備能力が落ちる事が製造品の品質に直結する事から、設備更新によって設備能力の向上と省エネ化によるコスト削減を狙う。(水産食料品製造業)
・若い世代の社員の離職率が高い為、今後、社員の高齢化も見据えて、生産ラインのオートメーション化を図りたいが、投資額が高額となることもあり、長期的なビジョンを持っていないと過剰投資になる恐れがある。(水産食料品製造業)