全国業況は、3カ月ぶりの改善もコスト増が重荷に。先行きは、円安や物価高の継続への警戒感強まる。
焼津市内業況も、改善するが全国市況同様にコスト増が重荷となっている。先行きは悪化の見通し。
※DI:Diffusion Index(ディフージョン インデックス=景気動向指数)の略。
各調査項目について、「増加」・「好転」したなどとする企業割合から
「減少」・「悪化」したなどとする企業割合を差し引いた数値で、企業の景況感の判断に使用する指数。
10月調査の傾向
全国の全産業業況DIは▲20.7(前月比+2.6ポイント)となった。水際対策の緩和や全国旅行支援による客足の回復で、飲食・宿泊業などのサービス業や、百貨店などの小売業で業況が改善した。また、卸売業も小売業・サービス業向けの引き合い増加に牽引されて業況が改善した。製造業でも消費者向けの飲食品関連や日用品の受注増により業況が改善した。一方、建設業では、建設資材価格の高騰が続いており、価格転嫁も十分に行えず、業況悪化が継続した。
焼津市業況DIは▲17.7(前月比+21.2ポイント)と改善している。しかし全国業況同様に、コスト増に伴う採算悪化販売価格転嫁が出来ていない状況が続いている。3か月後の見通しは悪化予想が先行する。
付帯調査テーマ
・新型コロナウイルスによる経営への影響
・2022年度の設備投資の動向
付帯調査の傾向
・「2021年度と比較した場合の貴社における2022年度の設備投資」の焼津企業の実施率は、2021年度は44.4%であったが、2022年度は76.4%と大幅に増加をした。
・「設備投資を行う理由」については、焼津企業の55.6%が「省力化・合理化」と回答した。次いで「能力増強」と「新分野への進出」が44.4%となった。
・設備投資を実施・積極化する条件については、「設備投資に係る補助金の拡充」が52.9%と最も多く、「投資した設備にかかる固定資産税の減免」が47.1%、「設備投資した金額に応じた法人税の軽減」が41.2%となった。
調査企業からの声
・ゼロゼロ融資の返済がすでに始まっている中、団体ツアーに関しては未だ動くような気配はない。店舗の固定費が重くのしかかる現状。その中で電気代の上昇がかなりウエイトを占める形だ。その他、原材料費の高騰もまだ続いており、価格の値上げだけではなく、そもそも原料がなく、他の商材に高値変更しなければならないものまである。今後、旅行支援の施策が消費者の心をつかみ、消費マインドが上がり、良い話題のニュースを報道してくれるようマスコミにもお願いしたい。(飲食業)
・中小零細企業の場合、従業員確保、上昇する賃金への対応が非常に大変であります。円安の状況下で原材料の上昇、価格転嫁も行っておりますが、先々のことを考えると不透明感もあり、心配である。(食料品製造業)
・急激な円安が収支悪化につながっている。当社では海外企業と提携し、システム開発業務を委託してきたが、その部分のコスト(外注費)が大幅に上がることになった。またサービス提供するためのサーバー使用コストも大幅に上昇している。一方でそれらのコスト増額分を販売価格へ転嫁させることは難しく、結果として収益を圧迫している。このような情勢の中で新規事業の立ち上げにチャレンジしている。(ソフトウェア業)
・需要増への対応のため、増産に必要な設備投資を行っている。しかしながら、設備に投資した費用を販売価格に転嫁することは難しく、税金面や補助金等のサポートがあれば、更に設備投資に回せる資金は増えると思われる。(水産食料品製造業)